これまで幾度かの「国際競争力」を求められる情勢から、日本の畜産の形態は規模拡大・集約経営が方針の一つとして発展してきた経緯があります。
弊社の場合、「未利用資源の有効活用」と「規模拡大」が、国際競争力を求められた事の答えです。
しかし、規模拡大は様々なデメリットを伴います。
獣医学的に規模拡大した農場のデメリットを挙げれば、「流行性感染症のリスクが大きい」「個体毎の健康管理と維持が難しい」、この2点がポイントとなります。
飼育頭数の増加と群飼育の農場に、一度流行性感染症の因子(ウイルスや細菌)が入り込んだとします。
因子からみると感染を繰り返す機会(動物)が多くあり、因子自身を増やす格好の場となります。人における「都会と田舎、どちらがインフルエンザのリスクが高い?」と、同じ事です。
この点を、経営者をはじめ全スタッフが意識を持ち、きちんと対応しなければなりません。
2010年4月に宮崎県で発生した口蹄疫は記憶に新しいところです。
当時、大臣発表の2時間後には、3段階の消毒体制と、立ち入り制限を実行しました。
そして、グループ全体が一丸となって24時間体制の監視と消毒を実行しました。
当初は、周囲に過敏反応ではないかと思われたりもしました。しかし、その後、各方面より危機管理の点で評価されました。
畜産の産業的進歩により、産業動物獣医師へ求められる事が変化しています。
治すことは重要ですが、それだけでなく、家畜が病気にならないよう予防し、経営上の損失・リスクを軽減して、より良い畜産物(食品)生産、経営改善を促すことが重要な役割と考えています。